製作国: 日本
監督: 天願大介
出演: 浅丘ルリ子/草笛光子/倍賞美津子/山本洋子
【あらすじ】
東北地方の寒村、その村では70歳になった老人はお山送りといって山へ捨てられるしきたりがあった。カユ(浅丘ルリ子)もある冬の日に掟に従って山に捨てられ、寒さに気を失う。しかし、彼女は謎の老婆たちによって助けられ、デンデラと呼ばれる村に運ばれる。そこは30年前に捨てられ、100歳になる老婆、メイ(草笛光子)が作り上げた、老婆だけの村だった。
状況が飲み込めないカユに向かい、共に村に復讐しようと語るメイ。一方、デンデラに暮らす老婆の一人であるマサリ(倍賞美津子)は、村より豊かになることこそが村への復讐になる、と説く。カユがデンデラに来たことで、デンデラの住民は50人になった。ついに時は来たとして、メイは次の満月に村を襲うと宣言する。
カユはデンデラで1年前にお山送りとなった親友クラ(赤座美代子)に再会する。デンデラはいいところだ、と語るクラ。その夜、30年で初めて熊がデンデラを襲った。多くの死傷者を出し、クラも足を失う重傷を追う。メイたちは熊を仕留めるため、クラを囮にして熊を誘き寄せることにする。反対し、怒るカユだったが、クラも納得している以上、どうしようもなかった。熊がクラを襲撃した際、老婆たちは総出で反撃に出るが、親熊はメイの一撃によって目を負傷するものの逃げてゆき、結局子熊を一頭殺すだけに終わってしまう。
しかし、親熊の再襲撃がなかったことで、メイは熊に勝ったと判断。デンデラでは祭りが行われる。翌日、メイとカユを始めとする一行は村を襲撃するため山を降りるが、その途中、雪崩にあってメイやマクラ(角替和枝)を始めとする多くが死んでしまう。なんとかデンデラに戻ったカユたちは、マサリの指導のもと、デンデラを建て直そうとするが、その矢先、再び負傷した熊がデンデラを襲う。マサリの犠牲もあって、熊を家に閉じ込め、家ごと焼き殺そうとしたカユたちだったが、熊は家を突き破って逃げていってしまう。
翌日、カユとヒカリ(山本洋子)の二人は、熊を殺し、新しい土地を見つけるために出発する。二人は熊と遭遇するが、ヒカリは熊に食い殺されてしまう。無我夢中で逃げるカユは、いつしか麓の村に出てしまっていた。カユを追いかけてきた熊は、一頭の雄熊も呼び寄せており、二頭の熊は村の人々に襲い掛かるのだった……
【感想】
宣伝文句やあらすじを見て、姥捨山に捨てられた老婆たちが、その知識を活かして自分を捨てた人々に復讐する、的なストーリーかと思いきや、まさかの老婆と熊のバトルものというのが本作。しかも基本的には一方的に蹂躙される。熊の襲撃シーンでは70年代の日本映画のようなスプラッターシーンも多用されており、そういった点もなかなか面白い。
また、本作は浅丘ルリ子、倍賞美津子、草笛光子、山本洋子といった、戦後日本映画を支えてきた名女優のオールスター映画という側面もあり、そういった意味でものすごく豪華な女優陣が見られる映画でもあります。日活ロマンポルノで一斉を風靡した白川和子や、同じくロマンポルノ出身女優である山口美也子などが出ているのも嬉しい。
実際に過酷な環境の雪山で撮影が敢行されており、そこで実年齢70を越えたりそれに迫る女優さんたちが出演しているわけで、そういった迫力も物凄いものがあります。
ストーリーは、特に結末にぶん投げ感はあるものの、撮りたいものを撮った、みたいな勢いのある映画で、ぼくは結構好きです。監督を勤めた天願大介監督は『楢山節考』(1983)の今村昌平監督の息子、というのも面白い。