製作国: イタリア
監督: ジュリオ・ペトローニ
出演: ルーク・アスキュー/ルイジ・ピスティッリ/ルシアノ・カサモニカ/マグダ・コノプカ

【あらすじ】

メキシコの寒村、親戚同士である村長のベヌスティアーノ、宿屋の主人イグナシオ(ジャンカルロ・バデッシ)、娼婦のドローレス(チェロ・アロンゾ)、教会の管理人ヘススマリア(フランコ・ヴァロブラ)は、孤児のマヌエル(ルシアノ・カサモニカ)に残された遺産である1万ドルを横取りしようと狙っている。しかし、軍のエルナンデス中尉(ルイジ・ピスティッリ)に計画を嗅ぎつけられ、無理やり仲間に加えさせられる。

彼らはマヌエルの殺害を盗賊の首領パンカルド(ググリエルモ・スポレティーニ)に依頼する。パンカルドは、自分が助けたアル中のアメリカ人、ルーク(ルーク・アスキュー)にその仕事を命じるのだった。誰を殺すのかも知らされず、ルークは村にやってくる。彼は酒場で下働きをしているマヌエルに懐かれ、彼の家に招かれる。彼は、父親が行方不明になったのち、呪術師のマリア(マグダ・コノプカ)に引き取られていた。

翌朝、殺す相手がいると告げられた場所に向かうルーク。何とそこに現れたのはマヌエルだった。ルークは躊躇するが、エルナンデス中尉がマヌエルを狙う。ルークはマヌエルを助けて逃げるのだった。マヌエルを助けるため、ルークは酒を断ち、銃の腕を取り戻す。ルークは以前、酒に酔い、誤って息子を撃ち殺してしまったという過去があり、その後酒に溺れてアル中になっていたのだった。

一方、マヌエルを狙う親戚たちにも動揺が見られた。弱音を吐いたベヌスティアーノは自殺に見せかけてエルナンデス中尉に殺された。そんな折、パンカルドの手下がマリアを人質に、ルークを詰問しにやって来る。ルークは彼らの隙を突いて銃で片付けるのだった。しかし、その間にマヌエルの姿が見えなくなる。彼はイグナシオの酒場に戻っており、イグナシオに騙されて溺死させられかかっていた。そこに駆けつけたルークがイグナシオを射殺、マヌエルを助ける。

しかし、イグナシオの妻(モニカ・ミゲル)にイグナシオを殺すところを見られてしまい、エルナンデスを呼ばれてしまう。軍を出動させるエルナンデス。ルークはマヌエルとマリアをイグナシオの酒場の床下に隠し、ヘススマリアを探しに向かう。ルークがドローレスの家に向かうと、そこではヘススマリアがドローレスを殺してしまったところだった。ルークは証人としてヘススマリアを連れて行こうとするが、銃撃戦の最中でヘススマリアは撃ち殺され、ルークは捕まってしまう。

拷問されたルークは、イグナシオに対してマヌエルの隠れ場所について嘘を付く。マヌエルを探しに行くイグナシオ。残されたルークは隙を突いて牢から脱出するが、まさにその時、兵士に見つかったマヌエルとマリアが連行されるところだった。銃撃戦の末、マリアとマヌエルを逃すルーク。しかし、それを見たエルナンデスは二人を追う。さらにそれを追いかけるルーク。

ルークはエルナンデスに追いつくが、エルナンデスはマヌエルを人質にルークに対し銃を捨てるよう迫る。言われたとおりに銃を捨てるルーク。絶体絶命かと思われた瞬間、二人の間にパンカルド一味が割って入る。何故約束を守らない、とルークに詰め寄るパンカルドだったが、ルークから実は殺害対象が子供だと知らされ激怒。子供を守ったルークを讃え、彼に銃を持たせるのだった。エルナンデスはルークを撃ち殺そうとするが、逆にルークに撃たれて息絶える。自らの副官にならないか、というパンカルドの誘いも、一緒に暮らそうというマヌエルの誘いも断ったルークは、馬でどこかへと去ってゆくのだった。

【感想】

『新・夕陽のガンマン/復讐の旅』(1967)や『復讐無頼・狼たちの荒野』(1968)のジュリオ・ペトローニ監督の日本未公開、テレビ未放送、ソフト未発売のマカロニウエスタン。アル中のガンマン、という他のマカロニウエスタンには登場しない異色のキャラクターが登場する作品です。主演のルーク・アスキューもマカロニウエスタンには本作のみの出演だと思われます。

割とストーリーが錯綜しており、今まで海外版ソフトで見ていても、いまいち話が分からず、辛いものがあったのですが、今回マカロニ大会で有志による字幕付きバージョンが上映され、やっと話が理解できました。話が理解できると、思った以上に面白い作品です。

特に前半は主人公がグダグダの単なるアル中だわ、ルーク・アスキューもあんまりヒーロー然とした容貌ではないわ、といった感じで、非常に暗いシーンが多く、マカロニウエスタンとして見ると少々盛り上がりに欠けるきらいがありますが、その前半が後半の展開に効いてきています。

一方、パンカルドに助けられるクライマックスの展開は、少々唐突というか、パンカルドのキャラクターが妙に善人善人しているのがちょっと不思議な感じというか、どうなんだこれ、という感じもあり。

リズ・オルトラーニの音楽は雄大でのんびりした印象で、マカロニウエスタンというより、ハリウッド西部劇っぽい感じがあります。