製作国: 日本
監督: 藪下泰司
出演(声): 森繁久彌/宮城まり子

【あらすじ】

中国の宋の時代、小さな頃白蛇を助けた許仙は、長じて不思議な胡弓の音色を聞く。その音色に惹かれ、ペット(?)のパンダとミミとともに、音色の主を探しに出かけた許仙は、少青という少女に誘われ、不思議な屋敷にたどり着く。そこには音色の主である美しい女性・白娘がいたが、彼女は昔許仙が助けた白蛇が女性の姿となったものだった。恋に落ちる二人。一方、パンダとミミが屋敷の龍の彫像で遊んでいたところ、龍が動き出し、旧邸の宝物庫に墜落してしまう。宝物庫で美しい宝石を見つけた少青はそれを白娘と許仙に贈る。

あくる日、許仙は宝石泥棒として役人に捕まってしまう。妖怪変化が絡んだ事件だと見抜いた高僧・法海の助言で許仙は蘇州へと追放される。蘇州へ流されても白娘のことが忘れられない許仙は、ついに白娘の住処である古ぼけた塔にたどり着く。しかし、許仙のことを心配する法海が二人の間に割って入り、白娘と法海の妖術勝負の末、破れた白娘は人間になる力を失ってしまう。一方、白娘の幻を追いかけた許仙は崖から墜死してしまう。許仙を哀れに思った法海は、彼を弔おうと、湖に浮かぶ自分の寺へと彼の亡骸を運んでいくのだった。

一方、幻となった白娘は宇宙を飛び、あらゆる妖怪の親玉である龍王の元へ、許仙を救うために向かっていた。龍王の力によって白娘は人間となり、許仙を蘇らせるための命の花を持って法海の寺へと向かう。妖怪変化が再びやってきたと勘違いした法海は白娘を追い返そうとするが、少青やミミ、パンダたちの活躍もあって無事に許仙は生き返る。それによって白娘が人間へと生まれ変わったと気付いた法海は、彼ら二人に祝福を与え、二人は船に乗って旅立っていくのだった。

【感想】

本作は日本最初のカラー長編アニメーション映画とされています。戦前にも『桃太郎の海鷲』(1943)などのアニメーション映画はありましたが、カラーになったのは本作が最初の模様。オープニング、許仙の子供時代は影絵アニメーションにミュージカル仕立てで始まるため、全編そんな感じなのかと思いましたが、すぐに彩色された絵が動く、いわゆる通常のアニメーションに変わり、あとは最後までその技法で描かれます。

いわゆる異類婚姻譚の流れを組む中国の説話が元になった物語で、こういった話は「聊斎志異」なんかにも多く収録されていますが、本作は中国で「四大民間伝説」とされる「白蛇伝」が元になっています。こういった伝説はアンハッピーエンドを迎えるものも多いのですが、本伝承については、何系統か存在し、本作のようにハッピーエンドを迎えるバージョンももともと存在する模様。

白娘と法海の対決シーンや、その後の嵐のシーンなど、迫力あるシーンが多く展開され、いま見てもかなり面白く見られます。また、パンダやミミ(あれは何でしょうね、レッサーパンダ)が蘇州の愚連隊である豚やイタチなんかと戦って子分にするシーンもコミカルな面白さがありました。

演出を務めている藪下泰司はのちに劇場版の『ひょっこりひょうたん島』(1967)の演出にも携わっています。