La banda J. & S. - Cronaca criminale del Far West
製作国: イタリア/西ドイツ/スペイン
監督: セルジオ・コルブッチ
出演: トーマス・ミリアン/スーザン・ジョージ/テリー・サヴァラス

【あらすじ】

子ブタと牛を交換してくれる、という話につられ、ある西部の町にやってきたお尋ね者のジェド・トリガード(トーマス・ミリアン)。しかしそれは、過去の因縁から彼を執念深く追いかける保安官フランシスカス(テリー・サヴァラス)の仕掛けた罠だった。間一髪のところで罠に気付き逃げ出すジェド。そんな彼を墓掘り人の姪サニー(スーザン・ジョージ)が助ける。

無法者に憧れる彼女は、ジェドに付きまとう。そんなサニーに、犬のように俺の言うことに従うならば、付いてきても良い、言い放つ。2人はジェドが懇意にしているソミーロのいるメキシコ人の集落を訪れ、歓迎されるが、集落の土地を奪おうとする大地主モレーノの手下が村を襲撃する。サニーが隙をついて一人を撃ち殺したことで、村は救われるが、初めて人を殺してしまったサニーはショックを受ける。

その夜、泥酔したサニーは銃を乱射し、たまたま近くで張っていたフランスシスカスに気づかれてしまう。何とか逃げ出した二人。町にたどり着いたジェドは、馴染みの娼館にサニーを売り飛ばそうとするが、泣いて抵抗するサニーを見て思い直す。そんなジェドに愛を告白するサニー。

教会で結婚式を挙げた二人は、ボニー&クライドよろしく夫婦で強盗を繰り返す。しびれを切らした州政府は、盲目となったフランシスカスの強要もあり、賞金を釣り上げると共に、二人を捕えた者の過去の罪を許す、との布告を出す。

一方、大金を得た二人は町の高級ホテルに泊まるが、そこでジェドはモレーノ夫婦の結婚1周年パーティに出くわす。モレーノ夫人に惹かれたジェドは、「あれが本当の女だ」と言って、サニーが止めるのも聞かずにパーティに潜り込む。怒ったサニーはパーティ会場に強盗に乗り込むが、そこにはフランシスカスも居たのだった。サニーを置いて、モレーノ夫人を人質に逃げ出すジェド。目的地はソミーロの住む村。一方怒りに駆られたサニーは村の場所を追っ手に教えるのだった。

村にたどり着いたジェドだったが、すでにソミーロたちは村を捨てたあとだった。自分がいれば、と悔やむジェド。そこにサニーが追いかけて来る。追っ手に村のことをバラしてしまった、と告げるサニー。ジェドはそんなサニーに怒り、彼女を追いやり、埋めてあったマシンガンを使い、追っ手を一掃する。

ジェドは廃屋に立てこもるが、フランシスカスはそこに手榴弾を投げ込む。その音を聞いたサニーによって、間一髪で救い出されるジェド。ジェドはフランシスカスを殺すようサニーに命令するが、サニーはそれを断り、ジェドを見捨てて出て行く。狼狽したジェドは、彼女に愛を告白しながら、サニーのことを追いかけて行くのだった。

【感想】

セルジオ・コルブッチ監督による後期のマカロニウエスタン。製作年から推測すると、おそらく『ガンマン大連合』(1970)と『進撃0号作戦』(1972)の間に撮られたものと思われますが、もしかすると『進撃0号作戦』(1972)のほうが先なのかな? とにかく西部劇に限っていえば、最後の方の監督作品になります。

ジェドとサニーの関係は、おそらく実在の銀行強盗であるボニー&クライドを基に創作されたものかと思われます。実在の二人の最期は『俺たちに明日はない』(1967)でも有名なところ。60年代であれば、コルブッチもこの映画にそういう結末を用意したのではないかな、とも思いますが、おそらくこの頃のコルブッチは西部劇を通して描きたい物語が60年代の彼とは少しずつ変わって来たのではないかな、と感じられます。それがジェドとサニーの関係性が逆転したかのように見える本作の結末なのだという気がします。

正直本作はアイデアが先行している印象があり、物語の展開もスムーズとは言いたいところもあり、コルブッチの西部劇の中では傑作とは言い難い作品です。ただ、ミリアンとジョージの演じるジェドとサニーのキャラクターは非常に魅力的であり、それを追いかけるフランシスカスもなかなか一筋縄では行かない魅力のあるキャラクターであり、単純な失敗作、とも言えない、魅力のある作品です。

本作は主としてアルメリアのタベルナス近郊の荒野で撮影されたと思われ、見覚えのある稜線や特徴ある岩がちらほら見えるのも面白い。ミニハリウッドも数シーンで使われているみたいですね。