林世榮/Magnificent Butcher
製作国:香港
上映時間:114分
監督:袁和平
出演:洪金寶/李海生/関徳興/馮克安/樊梅生

香港カンフー映画の武術指導といえばこの人、という感のある袁和平が洪金寶(サモ・ハン・キンポー)を主演に、黄飛鴻の弟子の一人である実在の人物、林世榮の事績を脚色して描いたのが本作です。林世榮を演じるのが洪金寶、彼の師である黄飛鴻には初代黄飛鴻役者である関徳興が扮しているのも、往年のファンには嬉しい見どころでしょう。

肉屋として働いている林世榮は黄飛鴻の高弟の一人として武術の修行にも励んでいました。ある日、弟である世光(蔣金)が妻の張月梅(唐晶)を連れて世榮を訪ねてきますが、そこを黃飛鴻の道場のライバルである五龍堂堂主・高霸天(李海生)の一人息子、大海(馮克安)に見つかり、好色な大海によって月梅は攫われてしまいます。

世榮は謎の武術の達人、福成(樊梅生)の助けもあって月梅の奪回に成功しますが、その際、霸天の養女である蘭心(陳琪琪)も誤って連れ出してしまいます。世榮の住処にたどり着いた大海は、彼の留守を襲って蘭心を襲おうとし、誤って彼女を殺害してしまいます。しかし、それを世榮の仕業に見せかけ、父である霸天に世榮を殺させようとするのでした……というお話。

『燃えよデブゴン7』と、デブゴンシリーズであるかのような邦題が付いていますが、例によって例のごとく、まったく関係ない洪金寶作品をあたかもシリーズもののように見せかけているだけです。ストーリーとしては、愚かなトリックスターである高大海の行動にすべての登場人物がひたすら振り回され続けている、という少々すっきりしない展開ながら、濡れ衣を着せられた世榮がその復讐を果たすシーンにはなかなかカタルシスがあります。その一方で、クライマックスの世榮と霸天の対決については、霸天が悪人であるようにはあまり描かれていないこともあって、やはり少々すっきりしない感じも。

一方の格闘のシーンは序盤の関徳興と李海生の貫禄の対決から、中盤の元彪と林正英の対決、クライマックスの洪金寶と李海生の対決と、さすがに見応えがあります。今のアクションを見慣れた目からすると、少々のんびりしている印象も受けますが、それだけに、「本物っぽい」見応えがあります。

 Lin Shi Rong
(1979) on IMDb