Into the Wild
製作国:アメリカ
上映時間:148分
監督:ショーン・ペン
出演:エミール・ハーシュ/マーシャ・ゲイ・ハーデン/ブライアン・ディアカー/ハル・ホルブルック

ジョン・クラカワーのノンフィクション『荒野へ』を原作にして、俳優としても著名なショーン・ペンが監督を務めた作品。主人公のクリス・マッカンドレスをTV俳優出身のエミール・ハーシュが演じています。

 若さゆえの生真面目さで自らの心と向き合い、過酷なアラスカの大自然に立ち向かっていった一人の青年の姿を追ったジョン・クラカワーのベストセラー・ノンフィクション『荒野へ』を、オスカー俳優ショーン・ペンがメガフォンをとり映画化。恵まれた境遇にありながらも繊細な感受性ゆえに満たされずにいた青年が、突然すべてを捨て、ヒッチハイクでアメリカを縦断しながら様々な人々との出会いを経て、最後は徒歩でアラスカの荒野へと分け入り、その4ヵ月後に餓死した死体となって発見されるまでの心の軌跡を静かに見つめていく。主演は「ロード・オブ・ドッグタウン」のエミール・ハーシュ。
1990年夏、ジョージア州の大学を優秀な成績で卒業した22歳の青年、クリス・マッカンドレス。卒業祝いに新車を買ってあげるという両親の申し出をあっさり断った彼は、通帳にあった預金全額を慈善団体に寄付し、家族に何も告げることなく、文字どおり無一文でアラスカへ向けて旅に出る。道中、様々な出会いと経験を重ねるクリス。サウスダコタでは彼の無鉄砲を諫めてくれる陽気な兄貴分ウェインと親交を深め、スラブスではヒッピーなどアウトサイダーたちが集うコミューンに身を寄せ、そこで美しい少女トレイシーと出会う。彼女はクリスに好意を抱き、クリスにも恋心が芽生えたかに思われたが…。一方その頃、残された家族は音信不通の息子の身を案じ、祈る思いで彼の帰りを待つのだったが…。

クラカワーの「荒野へ」を読んだのはもう3年以上前になるので、細かな内容は忘れてしまったのですが、本作のマッカンドレス(エミール・ハーシュ)がアラスカに行ってからの荒野での生活と、彼のそれまでの旅の軌跡が交互に描かれる展開は、原作を踏襲しており、それがアクセントとしていい構成になっています。一方で、マッカンドレスの心の声を妹であるビリー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)の声でナレーションすることにより、単調になりがちな部分をカバーしているのはうまい。

多少風景を美しく撮りすぎているんじゃないか、という部分があったり、音楽に頼りすぎではと感じる部分もあったものの、画面分割など(少々古くさくもある)手法を効果的に使うことにより、彼が生きた80年代から90年代頭の雰囲気をうまく出しているように感じました。

原作を読んだ際にはまだ感じなかったのですが、その後、狩猟の真似事に参加させて頂いたり、野草採りの真似事をするようになった経験を踏まえて言うと、やはり彼の狩猟・解体技術はまだまだ稚拙だったんだなぁ、ということと、野草ってやっぱり怖いよねぇ、ということを、強く感じます。

エミール・ハーシュの役作り、特にクライマックスの鬼気迫る痩せっぷりはすごい。また、最後に羆と遭遇するシーンはいったいどのようにして撮ったんだろう。

 Into the Wild
(2007) on IMDb