بچه‌های آسمان
製作国:イラン
上映時間:89分
監督:マジッド・マジディ
出演:ミル=ファロク・ハシェミアン/バハレ・セッディキ/モハンマド・アミル・ナジ/フェレシュテ・サラバンディ

モフセン・マフマルバフ監督の映画に出演したことを切っ掛けとして映画を撮ることになったというマジッド・マジディ監督の日本公開作としては2作目になる作品。本作はモントリオール世界映画祭のグランプリにも選ばれました。

 少年アリは修理してもらったばかりの、妹ザーラの靴を買い物の途中でうっかり失くしてしまう。親にも言えず、兄の靴一足しかない兄妹は、それを共有することに。妹がまずアリの運動靴を履いて登校。下校途中で待ちあわせて、今度はアリが履いて登校するという具合。そんなある日、小学生のマラソン大会が行われることに。3等の賞品はなんと運動靴。アリは妹のために3等になろうと必死に走るのだった……。健気で一生懸命な兄妹の姿を描きアカデミー外国語映画賞にノミネートされた感動ドラマ。

子供が自分の狭い世界で問題を解決しようと必死に頑張るということが映画の核になっている点で、本作の構成はアッバス・キアロスタミ監督の『友だちのうちはどこ?』(1987)に非常に近いものがあります。一方、キアロスタミの映画がひとりの子供が一生懸命奮闘する1日の姿を描いていたのに対し、本作では主人公アリ(ミル=ファロク・ハシェミアン)と、その妹ザーラ(バハレ・セッディキ)の関係性が描かれることによって、映画内の人間関係や、心の動きの描写が複雑になっています。

基本的にはアリとザーラ、および彼らの父親(モハンマド・アミル・ナジ)の3人の人間関係がメインとなる映画なのですが、そこに、学校の先生だったり、教頭(?)だったり、父親が庭師として仕事をした邸宅のおじいさんと孫だったりといった、そういった人物の姿が描かれます。

クライマックスのマラソンシーンの演出は少々ベタな気もしましたが、そういった点も含めて、非常に面白い映画でした。個人的にはザーラが溝に靴を落としてしまったシーンで、引っかかった靴を取り出そうと奮闘してくれたおじさんが、ズールハーネで使われる棍棒のようなものを売るお店のご主人だったのがちょっと面白かった。

本作のアリとザーラを演じたふたりは、素人の子どもを探してきたらしいのだけれど、イラン映画(特にキアロスタミとかマフマルバフとか)はそういったことをよくやる印象があります。

タイトルのبچه‌های آسمانは、バッチェハーイェ・アースマーンと読み「天の子どもたち」とか、「空の子どもたち」といった意味になります。邦題の『運動靴と赤い金魚』は、運動靴はそのままアリがマラソン大会で獲得を目指す副賞の運動靴、赤い金魚はおそらくアリの家が入っている一角の中庭の噴水にいる金魚のことでしょう。映画内で印象的な使われ方をしています。