製作国:日本
上映時間:85分
監督:吉村公三郎
出演:青木リカ/河原崎次郎/宗田政美/笠原玲子

混血児リカ』(1972)、『混血児リカ ひとりゆくさすらい旅』(1973)に続く「混血児リカ」シリーズの第3作にして最終作。演出は前2作の中平康監督から、文芸映画のイメージの強い吉村公三郎監督にバトンタッチされています。脚本、音楽はそれぞれ新藤兼人、竹村次郎がつとめており、前2作と共通です。

映画はリカ(青木リカ)が再び鑑別所である愛友学園に入所するところから始まります。竜巻お万(宗田政美)、くちなわのお京(笠原玲子)などの同室の不良少女とのお馴染みのキャットファイトを経て、屋外での労務作業中に監督官の好きを突いて脱走するリカ。横浜の埠頭で寝ていたリカは、無理心中をはかるジュン(市毛良枝)とその母親を助けます。

明くる日、ジュンと買い物をしていたリカは、不良大学生ハブのゴン太(柳原幸一)に因縁をつけられます。五郎(河原崎次郎)の助力もあってゴン太一行を撃退したリカでしたが、警察に捕まり、愛友学園に逆戻りさせられてしまいます。愛友学園では鬼の兵曹長(大木正司)という看守が精神病院院長(殿山泰司)と組んで入所した不良少女たちをアメリカに売り飛ばそうとしていました。リカたちもすんでのところで脱走に成功します。

一方そのころ、ジュンがハブのゴン太たちに浚われ、アメリカに売り飛ばされそうになっていました。計画を察知したリカと五郎は、お万たちの協力も得て敵のアジトである天城に向かうのでした……というお話。

ストーリーの骨格は第1作と共通ながら、お話のスケールは前2作と比べると微妙に小さくなっています。また、敵側のハブのゴン太、ニクイソン(清水幹生)といった面々が割とコミカルな小悪党として描かれており、演出も滑稽さを打ち出そうとしているため、全体的に盛り上がりに欠けます。『混血児リカ ひとりゆくさすらい旅』では、演出は適度にコミカルながら、敵役は一本筋の通った悪党だったので、アクション映画としてギリギリのバランスで成立していた感がありますが、それに比べると本作はアクションとしては失敗している印象。

また、本作でリカの相棒を務める河原崎次郎演じる五郎、おそらく前作で峰岸徹が演じた八郎と同一人物的なキャラクターなのだと推測されますが、名前も演者も変わってしまっている割に、昔なじみのような感じで劇中で何の説明もなくストーリーに加わってくるのが謎。せめて名前同じにすればよかったのに。

登場人物的にはリカ以外に前2作と共通するキャラクターはいないものの、前作まででは黒人メイクで花子を演じていた宗田政美が主人公のライバル格に昇格していたり、第1作でスリのサブを演じた荒川保男が本作でも敵側の舎弟で出ていたり、キャストはかぶっている部分があります。

第1作で売春に部屋を貸しているオバサン役だった初井言栄が本作では愛友学園の院長役だったり、精神病院々長役で殿山泰司が出ていたり、精神病院に入所している兵隊キチガイ役で田中邦衛が出ていたりと脇役が妙に豪華です。