འཚོལ།/尋找智美更登
製作国:中国
上映時間:112分
監督:ペマ・ツェテン
出演:マンラキャプ/ツォンディ/ルムツォ/リクデン・ジャンツォ

ペマ・ツェテン監督が『静かなるマニ石』(2005)に続いて撮ったのが、『静かなるマニ石』の劇中でも登場した伝統劇「ティメー・クンデン」を映画化するためのキャストを探しまわる映画監督を描いた、いわば「映画の映画」とも言える本作です。

映画監督(マンラキャプ)、社長と呼ばれる男(ツォンディ)などの一行は、チベット高原に車を走らせながら、チベットの伝統劇「ティメー・クンデン」をモチーフにした次回作に出演させる役者を捜していました。村々や寺の田舎劇団を巡る一行は、ある村でティメー・クンデン王子の王妃役にぴったりの少女(ルムツォ)を見つけます。出演を承諾した彼女でしたが、条件として、昔の恋人であり、町へ行ってしまったその劇団のティメー・クンデン役の青年(カトゥプ・タシ)を王子役にキャスティングすることを挙げるのでした。

さらに村々を回りながら、ひとまず青年を捜すことにした一行に、少女も同行することを申し出ます。旅のつれづれに、社長の初恋話を挟みながら、車は青年の町に向けて寄り道をしながらゆっくりと進んで行くのでした。というお話。

本作は「映画の映画」であると同時にロードムービーでもあります。ロケ地である青海省の田舎をヤクや羊を掻き分けながら車が走っていく風景は長閑。一方で、チベット伝統劇が少し大きな町になると子供たちに伝えられていなかったりとか、町に出ていってしまう若者だとか、そういった今日日的な問題もさりげなく描かれています。

本作はティメー・クンデンという無償の愛を描いた古典劇のストーリーをベースに、その上に社長の過去の愛の話と、田舎役者の青年と少女の恋の物語という、時制の異なる物語が重なっているという重層的な構造になっています。それぞれが上手く調和しているか、というと少々首を傾げざるを得ない部分も感じられましたが、演出意図は面白く、また、前作に引き続いて「多くを語りすぎない」スタイルとはうまく調和して、不思議な読後感を残す映画になっていました。