ལྷིང་འཇགས་ཀྱི་མ་ཎི་རྡོ་འབུམ།/靜靜的嘛呢石
製作国:中国
上映時間:102分
監督:ペマ・ツェテン
出演:ロブザン・テンペル/チョクセ/トゥルク・ジャホンツァン/プルワ

東外大AA研の主催で映画美学校試写室において開催されたペマ・ツェテン映画祭に参加して3作品を観てきました。映画祭告知によると、ペマ・ツェテン監督は西北民族学院在学中に小説家としてデビューし、その後北京電影学院に入学、中国で初めて「チベット語劇映画」を本格的に制作した監督として知られているようです。個人的にもチベット・ビルマ語派には深い関心があることもあり、見逃せない映画祭ということで楽しみにしていました。

やっと電気の引かれたチベットのアムド地方(青海省)の山村。ラマとして師(チョクセ)に付いて修行する少年僧(ロブザン・テンペル)のところに、新年を村で過ごさせるため、父(プルワ)が迎えに来ます。帰り道で父から「新しくテレビを買った」と聞いた少年僧は大喜び。兄(トゥプ・タシ)が主役を務める新年の伝統劇「ティメー・クンデン」そっちのけで、テレビと「西遊記」のVCDに夢中になります。三蔵法師を敬愛する師にも「西遊記」を見せてあげたいと思った少年僧は、父に頼みこんで、テレビとVCDデッキを馬に乗せ、父とともに寺院に戻るのでした。というお話です。

本作はペマ・ツェテン監督の初の長編劇映画なのですが、チベットの山村のお正月の風景を、控えめな演出で瑞々しくとらえています。主演のロブザン・テンペルは当時本当に少年僧であり、師を演じているチョクセも本当に彼の師、映画内に登場する化身ラマであるトゥルク・ジャホンツァンも本当の化身ラマ……といった感じで、基本的にプロの役者を使っておらず、そのせいもあってドキュメンタリー的な印象も強く受ける映画です(もちろん、明確な脚本を元に演じられているので「劇映画」なのは間違いないのですが)。

本人たちにとっては当たり前の日常が、他の土地の人(いわゆる都会人、異文化の人間)の目から見ると、それだけで物語として成立している、というそういうタイプの作品です。タイトルの「マニ石」というのは、チベット文化圏でよく見かける、石に仏教の真言を彫りつけた宗教的なもので、本作では寺院から村への行き帰りに、マニ石彫りの老人(ホワルジン)との再会と彼の死、という非常に印象深いエピソードが描かれています。