製作国:日本
上映時間:143分
監督:黒澤明
出演:三船敏郎/仲代達矢/石山健二郎/山崎努

黒澤明監督が『椿三十郎』(1962)に引き続いて黒澤プロダクションで制作したのが現代劇である本作でした。本作はエド・マクベインの「キングの身代金」を原作としています。主演は『椿三十郎』に引き続き三船敏郎と仲代達矢。

 エド・マクベインの原作を巨匠・黒澤明監督が映画化した傑作サスペンス。優秀な知能犯に刑事たちが挑む。ナショナル・シューズの権藤専務は、自分の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐され、身代金3千万円を要求される。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して3千万円を用意する。無事子どもは取り戻したが、犯人は巧みに金を奪い逃走してしまい、権藤自身は会社を追われてしまう……。巧妙なプロットもさることながら、登場人物たちの心理描写が秀逸で人間ドラマとしての完成度も非常に高い。

エド・マクベインの小説では室内劇として描かれている印象の強い作品ですが、それを映画化した本作は、前半部こそ室内劇の印象が強いですが、後半は戸倉警部(仲代達矢)を中心にした警察が町へ出て犯人を追うシーンが盛り込まれています。そのため、2時間半と長い上映時間ながら、さすが黒澤明というべきか、無駄なシーンがまったくなく、2時間半の間まったくだれさせません。

三船敏郎をはじめ、仲代達矢、山崎努などの演技、演出はさすがという他はなく、普段まぁ、B級的な映画ばかり見ている中でこういう映画を見ると、正直目が洗われる思いではあります。まぁ、結局どっちも好きなんですが。