Il buono, il brutto, il cattivo.
製作国:イタリア
上映時間:179分
監督:セルジオ・レオーネ
出演:クリント・イーストウッド/リー・ヴァン・クリーフ/イーライ・ウォラック/アルド・ジュフレ/ ルイジ・ピスティッリ

セルジオ・レオーネが監督した『荒野の用心棒』(1964)、『夕陽のガンマン』(1965)に続く「ドル三部作」の最後の作品にして、スケールも制作費も上映時間も最大となったのが本作です。南北戦争を背景に、3人の悪党が南軍の財宝を巡って虚々実々の駆け引きを繰り広げます。

 コンビを組んでお尋ね者の懸賞金をだまし取っていたジョーとテュコ。二人はある日、逃走中の強奪犯から、20万ドルもの大金を奪う。だがその金をねらって、セテンサという凄腕のガンマンがやってきた……。三人の男たちの、虚虚実実の駆け引きをユーモラスに描いた痛快ウェスタン。騙しだまされ合いながら、コンビを組むC・イーストウッドとE・ウォラックの絶妙の台詞回しがおもしろい。オリジナルは170分。

前2作には明確な時代背景は存在しませんでしたが、本作では「背景」というには少々前面に出過ぎているくらいに南北戦争という背景が描き込まれます。そのために製作費用も、映画の上映時間も非常に長いものになっており、(特に後者が理由で)ファンの中でも評価が分かれる作品です。もちろん、名作なのは誰もが認めるところではありますが、例えば『夕陽のガンマン』と本作ではどちらが面白いか、という部分で意見が分かれたりしています。

確かに3人の魅力的な登場人物の駆け引きを描くだけならば、ここまで背景である南北戦争に時間を割く必要もないような気もしますが、「名無し」のロマンティックでセンチメンタルな一面が色濃く現れるのが、この南北戦争絡みのシーンであり、また、トレードマークのポンチョを身に着けるシーンも南北戦争絡みのシーンであることを考えると、やはり必要な演出である気はします。それでも上映時間が長いという意見には賛成しますが。

冒頭、イーストウッドが「いい奴」、クリーフが「悪い奴」、ウォラックが「ずるい奴」と紹介されますが、映画を観ていると、イーストウッドが「いい奴」にはどうしても見えないんですよね。どっちかと言うとウォラックのほうが「いい奴」に見えてきます。本作に対する論評として、善玉と悪玉を字幕で表示するような分かりやすい作品、という文章を見たことがあるのですが、一概にそんなことはなく、これはレオーネ一流の皮肉であるような気もします。

また、ドル三部作の一部であることを考えると、本作の主人公は当然、イーストウッド演じる「名無し」になるわけなのですが、マカロニウエスタンの作法に照らし合わせると、ここでもやはりウォラックが主人公にも見えます。

いずれにしろ、イーストウッドとウォラックのやりとり、橋爆破のシーン、そして語り継がれる三角決闘のシーンと、これを見ずしてマカロニウエスタンは語れない作品のひとつであることは間違いありません。