製作国:日本語
上映時間:65分
監督:西河克己
出演:和田浩治/清水まゆみ/東野英治郎/E・H・エリック/殿山泰司

日活のダイヤモンドラインの4番手、やんちゃガイ和田浩治を主演に据えた和製パロディ・ウエスタン。監督は『竜巻小僧』(1960)などの西河克己。フィルムセンターでの特集上映で観てきました。

1890年代、保安官、ワイアット・アープは世に名高いOK牧場の決斗でクライトン一味を斃しました。時は流れ、彼の子孫・ジョージ三原(和田浩治)は母の故郷、日本に渡り、10万ドルの小切手を恩人である松山に渡すよう、父トム(シェーブ・ワイアット)から申し付けられます。日本に渡るジョージでしたが、それを待ち受けていたのが遠藤(殿山泰司)をボスとするヤクザ者集団。ジョージの持っている10万ドルに目をつけ、横取りを狙っていたのでした。

そうとは気づかないジョージでしたが、孤児の少女・マリ(清水まゆみ)に衣装を奪われ、ヤクザ者たちはマリをジョージと思い込み誘拐していってしまいました。マリを追って大立ち回りを演じるジョージ。マリに事情を聞くと、生き別れた兄を探しており、話題になりたかった、とのこと。いろいろとあり、マリが育った孤児院・大川牧場にマリと一緒に訪れるジョージ。しかし、そこに大川(東野英治郎)に金を貸していたヤクザ者たちが現れます。撃退するジョージでしたが、彼の正体をジョージだとヤクザ者たちに知られてしまいます。

そして、ヤクザ者集団の中には、なんとあの、クライトンの子孫(E・H・エリック)が潜んでいたのでした。先祖の復讐のため、マリを誘拐し、ジョージに決闘を申し込むクライトン。場所はOK牧場ならぬOKawa牧場(ほんとにそう書いてある)。富士裾野の荒野を舞台にジョージとクライトンの決闘が始まるのでした……という(非常にたわいない)お話。

細かいつじつまとか、設定とかはもうどうでもいい、徹頭徹尾愉快なパロディ映画でした。導入部分こそ、ワイアット・アープとクライトンの因縁を描いた正統派西部劇シーンですが、あとは日本を舞台にしたどたばた喜劇。そもそも主演の和田浩治がどう見ても日米ハーフには見えないという(笑)。また、歌謡映画の側面もあり、かまやつひろしやら、平尾昌晃やらが出てきてそれぞれワンコーラス歌いきります。

大川牧場にしても、看板にしっかりと「OKawa牧場」と白ペンキで書かれており、そんな書き方するヤツがあるかい、という愉快な状態。クライトンがジョージに自分の正体を明かすシーンでも、折れた葉巻を取り出して、「これは、俺の先祖がお前に打ち落とされた葉巻だ」(オープニングでクライトンがアープに葉巻を打ち落とされるシーンがある)って、誰がそんなの拾って保管してたんだよ、という(笑)。そもそもアープの子孫とクライトンの子孫が両方日本にいるという前提からしてもう何とも(ほめてる)。

クライマックスの銃撃戦シーンは和田浩治の動きが少々もたもたしている感じもありましたが、なかなか楽しく見ることができます。ただ、結局一人も死なない(あ、殿山泰司)のは明朗快活なコメディ映画という感じで好感が持てますね。