Une corde, un Colt...
製作国:フランス/イタリア
上映時間:89分
監督:ロベール・オッセン
出演:ロベール・オッセン/ミシェール・メルシェ/リー・バートン(グイド・ロロブリジーダ)/ダニエル・ヴァルガス

『殺られる』(1959)で知られるフランスのスターであり、『殺人者に墓はない』(1963)でも主演を務める一方で自らメガホンもとったロベール・オッセンが監督・主演した唯一のマカロニウエスタン。一応仏伊合作映画なのですが、スタッフからキャストまでフランス色が非常に濃い映画になっています。

 シェークスピアの悲劇を思わせるフランスとイタリア合作の異色ウエスタン。町を牛耳る一家に夫を殺された女。彼女は、古い知り合いのガンマンに仇討ちを依頼する。彼は一家の一人娘を誘拐し、殺された男の葬式を出させる。だが、一人娘が戻ると、一家は女をリンチして殺害。失意のガンマンは、一家と対決して皆殺しにする。しかし、彼も生き残った一人娘の銃弾に倒れるのだった。ラストの一家との対決は、超早撃ちで、ウエスタン史上に残る屈指の名シーン。

劇場未公開映画にしては珍しくallcinemaの解説が長めでしっかりしています。シェイクスピアの悲劇を思わせる、というより、フランスのフィルム・ノワール映画の延長線上に位置する西部劇、と捉えたほうがしっくりときます。普段このブログでは映画の結末には触れないのですが、本作はallcinemaの解説で触れられているので触れてしまうと、結局誰も彼も死んでしまって誰も幸せにならない、という結末はかなりフィルム・ノワール的。『殺しが静かにやって来る』(1968)のカタストロフィとも異なる、やるせない後味が印象に残ります。

オープニングとエンディングは褪色したようなザラザラした画面になっていますが、これは意図したものなのか、フィルムが褪色してしまったのかどちらなんでしょうね。何となく、古い話であるという演出で褪色させたような気もしますが、よくわかりません。

主演のロベール・オッセンの西部劇姿もなかなか様になっています。銃を抜く前に必ず右手に黒い革の手袋をはめ、右腰に付けたホルスターから左手で早撃ちする姿は、様式美的ながら非常に恰好良い。相手役のダニエル・ヴァルガスも堂々たる悪党にして良い家長ぶりが様になっています。結局本作があまりマカロニウエスタン的でないのは、登場人物が誰しもリアリティのある悪人なところなんですよね。その辺りがクライマックスの悲劇へと繋がっています。

スキャットが印象に残る音楽を担当したアンドレ・オッセンは、監督・主演のロベール・オッセンの実父であるようです。