El sabor de la venganza
製作国:イタリア
上映時間:80分
監督:J・R・マーチェント(ホアキン・ルイス・ロメロ・マルチェント)
出演:リチャート・ハリソン/クラウディオ・アンダリ/ミゲル・パレンスエラ/グロリア・ミランド

先日亡くなられたスペインのホアキン・ルイス・ロメロ・マルチェント監督がメガホンをとったマカロニウエスタン。イタリア、スペイン合作の初期の西部劇です。主演は『赤い砂の決闘』(1963)でも主演していたリチャード・ハリソン。この時期の伊=西西部劇界では引っ張りだこだったようです。

ブラッド(ミゲル・パレンスエラ)、チェット(クラウディオ・アンダリ)そしてジェフ(リチャード・ハリソン)の3兄弟は幼い頃無法者に父親を殺され、母親・ルイザ(グロリア・ミランド)からその仇を討ってもらいたいと言われながら育ちました。長兄のブラッドは落ち着いた牧場主に、次兄のチェットは血の気の多いガンマンに、そして三男のジェフは法によって街に秩序をもたらそうという理想主義者に育ちます。チェットはそんなジェフが気に入らず、喧嘩を繰り返していました。

そんなある日、酒場での諍いからチェットが殺人を犯してしまいます。兄弟たちはチェットを逃し、チェットはさすらいの旅に出るのでした。時が経ち、ブラッドは結婚して農場を管理し、ジェフは警察に入り署長にまで昇進していました。ジェフは父親の仇がメキシコ国境の街に隠れていると、保安官からの知らせを受け、街に向かいます。しかし、彼が街に着く前に保安官は殺されてしまっていたのでした。

一方、独自に父親の仇を狙っていたジェフも、仇の片割れを見つけ、拷問の末もう一人の行方を吐かせます。彼はブラッドを誘って仇のいる街へと向かうのでした……というお話です。

『赤い砂の決闘』と同時期の西部劇ですが、こちらは劇場未公開。しかし、映画の完成度としてはこの『墓標には墓標を』が優っているように思えます。今回CSのスター・チャンネルで放送されたので、字幕付きで見ることができました。

ハリソンは『赤い砂の決闘』同様法の力を信じる男を演じていますが、『赤い砂の決闘』では最後には力に訴えていたのにたいし、本作はチェットがその役割を担っているため、役柄が一貫している印象。まぁ、そのせいで特に終盤、クラウディオ・アンダリが全てを持っていった感がありますが。

基本的にアメリカ西部劇の模倣色が強かった時代の作品ではありますが、三兄弟の反目と協力、そして深いところでの信頼関係をしっかりと描いており、好感がもてます(イタリア語タイトルは「容赦のない3人」)。

また、本作にはフェルナンド・サンチョも顔を出しており、料理に惹かれて三兄弟と母親の家に転がり込み、そのまま下男として住み込む気のいい男をコミカルに演じています。こういうサンチョはマカロニウエスタンでは珍しいのですが、ぼくは冷酷な山賊よりもこういったコミカルなサンチョのほうが好きです。