最佳拍檔之大顯神通 / Aces Go Places II
製作国:香港
上映時間:101分
監督:曾志偉
出演:許冠傑/麥嘉/張艾嘉/徐克/倉田保昭

先日ご紹介した『悪漢探偵』(1982)の続編で、香港では前作に続く大ヒットを記録したのが本作です。82年、83年と香港での興行収入第一位を前作と本作で独占しました。監督は前作に引き続き曾志偉がつとめています。残念ながら日本では『悪漢探偵』がヒットしなかったため、本作は劇場公開されませんでした。まだ、香港映画といえばカンフー、という時代だったのでしょう。

 S・ホイ主演の「悪漢探偵」の続編。今回の敵はスーパーロボットを操る国際陰謀団。このロボット、身長3メートルほどなのだが、どうみてもガンダムそっくり! しかも、両足が2機のラジコンヘリに変型し、同じく飛行する胴体と合体するという念の入れよう。ロケットパンチは打ち出すワ、胸からミサイルは発射するワの大活躍。対するS・ホイも玩具のゾイドのような小型メカ軍団で応戦。クライマックスはビーム&ミサイル飛び交う大激戦。日本のアニメファンが見たら、喜びか怒りで卒倒してしまいそうな傑作シーンの連続となっている。シリーズは「皇帝密使」「スペクターX」に続く。

前作でも『ピンクの豹』(1963)や、『ゴッドファーザー』(1972)のマーロン・ブランドのパロディが見られましたが、本作は更にパロディ満載。『ダーティハリー 』(1971)から、『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(1966)的なキャラクターから、果ては日本のロボット合体アニメまで。前作よりも制作費もかかっているらしく、いたるところでメカは爆発し、車も爆発(前作よりもいい車!)、そしてバーも爆発、と凄いことになっています。

正直、コメディ部分の許冠傑と麥嘉の掛け合いは『悪漢探偵』に比べると少々切れ味が悪い気もしますし、冒頭からあまりにメカメカしい演出はどうなのよ、と思わないでもないのですが、この時代の香港映画はそんなことを深く気にさせない勢いがあります。

本作には日本から倉田保昭が出演しているのですが、彼がアクションを見せるシーンがほとんどなく、その点は少々残念。また、前作から引き続いて出演している徐克ですが、本作では自分をFBIだと思い込んだ誇大妄想狂を演じており、登場シーンもだいぶ増えています。

マカロニウエスタン・ファンとして興味深いのは、本作のマカロニウエスタンのパロディの仕方。まず、キャラクターの名前は「Filthy Harry(不潔なハリー)」と、明らかに『ダーティハリー』を意識したもの。そして登場シーンに流れる音楽は明らかに『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』。しかし、何故かファッションはイーストウッドのポンチョではなく、アンソニー・ステファンやジョージ・ヒルトンのような黒い帽子に黒いジャケットなんですよね。これは結構珍しい例だと思います。