The Hard Way
製作国:イギリス
上映時間:88分
監督:マイケル・ドライハースト
出演:パトリック・マクグーハン/リー・ヴァン・クリーフ/エドナ・オブライエン/ドナル・マッキャン

マカロニ・ウエスタン後のリー・ヴァン・クリーフ出演作品のひとつ。アイルランドの荒涼とした大地を舞台にした骨太のクライム・スリラーです。監督のマイケル・ドライハーストは主にプロデューサーを務めていた人物のようで、監督作はこの一本のようですね。主演のパトリック・マクグーハンはTVドラマ「刑事コロンボ」や「プリズナーNO.6」で有名になった俳優のようです。ぼくは恐らく今回初めて接しました。

腕のいいスナイパーだったジョン・コナー(パトリック・マクグーハン)は引退し、荒涼たるアイルランドの片田舎でひっそりと暮らしていました。しかし、そんな彼の腕を必要としたマクニール(リー・ヴァン・クリーフ)によって、妻のキャサリーン(エドナ・オブライエン)を人質に、半ば無理やり引きずり出されてしまいます。暗殺のターゲットはダブリンからパリへ飛行機で向かう黒人神父。

着々と暗殺の準備を整える一味でしたが、ジョンは土壇場で裏切り、マクニールの手下を殺して逃走します。彼を殺すため、マクニールはライアン(ドナル・マッキャン)を始めとする腕利きを雇いますが、地の利を得たジョンには敵いません。ジョンを自らの屋敷におびき寄せ、決着をつけようとするマクニールでしたが……というお話。

地味です。全編非常に地味。登場人物も主人公であるマクグーハンや敵役であるクリーフを始めおっさんだらけ。しかし、面白くないかというとそんなことは全くなく、緊迫感あふれるカット割りや間など、緊張感を高める工夫がいろいろと凝らされています。アイルランドの荒涼とした山地も映画の雰囲気作りに非常に役立っていました。

クライマックスの決闘も、配電盤(ブレーカー)を使ってジョンを翻弄するマクニールと彼の居所を必死に探すジョン、というなかなか工夫の凝らされたもの。ただ、まぁ、最終的にどうなるかは終盤には完全に読めてしまうのが欠点といえば欠点か。

また、ところどころに妻であるキャサリーンのモノローグが挿入されるのですが、(特に序盤は)本編との繋がりが分かりづらく、テンポを悪くしてしまっていた感じがあるのが残念です。

しかし、クリーフは当然として、マクグーハンも渋い燻し銀のスナイパーを好演していました。スナイパーものというと、『殺しのテクニック』(1966)や『狙撃』(1968)が思い出されます。本作はそれらに勝る……とは言えませんが、銃器の描写も非常に丁寧であり、見応えのあるスナイパー映画の一本と言えるでしょう。

本作はallcinemaでは劇場映画として紹介されているのですが、IMDbではTV映画として登録されているようです。どちらが正しいんだろう……?