Deserto di fuoco
製作国:イタリア/フランス/ドイツ
上映時間:113分
監督:エンツォ・G・カステラッリ
出演:アントニー・ドロン/ジュリアーノ・ジェンマ/クラウディア・カルディナーレ/ステファーヌ・フレス

アラン・ドロンの息子であるアントニー・ドロンを主演に迎え、エンツォ・G・カステラッリ監督がメガホンを取ったアラブの砂漠とモナコを舞台にしたTV映画。もともとは270分の映画だったものを、日本では113分にまとめてDVDが発売されました。

鉱石会社の技師マルセル(フランコ・ネロ)は、アラブの砂漠で見つかった鉱石を調査するため、息子のルネを連れてヘリコプターで調査に向かったのですが、そのヘリコプターには細工がされており、砂漠で墜落。ルネ一人を残し、全員が死んでしまいます。

20数年後アラブの首長・タフー(ジュリアーノ・ジェンマ)に拾われたルネ(アントニー・ドロン)は王子として立派に成長していました。しかし、彼にはある悩みがありました。それは、妹であるアミナ(マンダラ・タイド)に恋をしてしまったこと。アミナもまた彼を愛していました。そんなルネに育ての母であるレイラ(クラウディア・カルディナーレ)は出生の秘密を告げます。それを聞いたルネは自分の正体を知るため、旅に出ることにします。

旅先で知り合った詐欺師ジャコ(ステファーヌ・フレス)と協力し、自らの母親がその鉱石会社の社長であるクリスティーヌ(ヴィルナ・リージ)であることを突き止め、親子の再会を果たす2人。しかし、時期社長の座を狙うフランソワ(マチュー・カリエール)は、ルネの命を狙います。そして、彼の父が見つけた鉱石の在り処を巡り、アラブをも巻き込んだ一大紛争が繰り広げられるのでした……というお話。

ストーリーも非常にまとまっており、あまり意外性はないものの楽しめる映画です。しかし、それ以上にマカロニ・ウエスタン・ファンならばこの映画を楽しめるはずです。まず、監督のエンツォ・G・カステラッリ。彼は『荒野のお尋ね者』(1966)、『ジョニー・ハムレット』(1968)、『ケオマ・ザ・リベンジャー』(1977)と、数多くのマカロニ・ウエスタンを送り出してきた名監督。そんな彼の演出でジュリアーノ・ジェンマとフランコ・ネロが共演しているのです(DVD版では直接同じ画面にいるシーンはありませんでしたが……)。そして、上には書いていませんが、ファビオ・テスティ。彼はクリスティーヌの忠実な秘書役で登場しています。彼についてはDVD版ではかなり登場シーンがカットされてしまっているようで、わずか3シーンほどの登場なのですが、ジェンマとの共演シーンもあります。更に更に、脚本の一人としてマカロニ・ウエスタンに出演していたり、脚本を書いていたりしたジョージ・イーストマンの名前もクレジットされています。そういった視点からも非常に楽しめる映画でした。

もちろん、マカロニ・ウエスタン陣だけではなく、ルネの友人になる詐欺師を演じたステファーヌ・フレスや、フランソワの愛人を演じていたアリエル・ドンバールも印象に残ります。全長版だと彼らの演技ももっと楽しめるわけで。全長版も見てみたい気がします。