RANGO
製作国:アメリカ
上映時間:107分
監督:ゴア・ヴァービンスキー
出演(声):ジョニー・デップ/アイラ・フィッシャー/アビゲイル・ブレスリン/ネッド・ビーティ

「ジャンゴ 」「チャマンゴ」「シャンゴ」と来て『ランゴ』。日本公開時ぼくの周りのマカロニ・ウエスタン・ファンの間でちょっとした話題になったアニメーション西部劇。監督は『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(2003)などの「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのゴア・ヴァービンスキー。

 「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのゴア・ヴァービンスキー監督とジョニー・デップが再びタッグを組み、お調子者のカメレオンを主人公に描くコメディ・アニメ。ひょんなことから砂漠のど真ん中に置き去りにされてしまったペットのカメレオン“ランゴ”が、動物たちが暮らす無法の町でヒーローに祭り上げられ、思わぬ大冒険を繰り広げるさまを往年の西部劇テイストをふんだんにコミカルに綴る。ジョニー・デップは主人公ランゴの声のみならず、アニメの基となる動きもモーション・キャプチャー技術を使って自ら演じている。
 TV番組のヒーローに憧れるペットのカメレオン。飼い主と車で移動中に事故に遭い、入っていた水槽ごと砂漠の中に放り出されてしまう。狭い水槽の中しか知らずすっかり途方に暮れる彼は、やがて寂れた荒野の町“ダートタウン”にたどり着く。酒場に立ち寄った彼は、町の住人を前に自らをランゴと名乗り、ありもしない武勇伝を得意げに語ると、いつの間にか町の保安官に任命されてしまう。思いがけない大役に戸惑いつつも、まんざらでもないランゴだったが…。

タイトルと(ぼくの周囲の)前評判にマカロニ・ウエスタン臭さを期待してみると、少々肩透かしを食らうことになります。特に序盤。主人公であるカメレオン・ランゴのキャラクターがあまりに軽く、軽薄なのはあまりいい気持ちはしません。まぁ、こちらがマカロニ・ウエスタンを期待しすぎてしまっていたのが最大の原因だとは思います。

そういう点を抜きにして見てみると、小さな世界しか知らなかった主人公が外の世界に放り出され、挫折し、そしてとある切欠で立ち直り、ヒーローになる、というジュヴナイル・エンターテインメントの王道的展開。そして確かにクライマックスの15分は映画的にも西部劇的にも燃える展開なのは確かです。

クライマックス、町の至る所から水が吹き出すシーン、どこかで見たことがあるような気がしていたのですが、アルフォンソ・バルカザール監督のマカロニ・ウエスタン『I BANDOLEROS DELLA DODICESIMA ORA』(1972)のクライマックスで地面から石油が吹き出してくるシーンに非常に似ていました。まぁ、本作のほうがきちんとストーリーに組み込まれていますし、またアニメーションの利点を最大限に活かした素敵なシーンに仕上がっていました。

しかし、こういう「主人公・ヒロインが造形的に可愛らしくないアニメ」は日本よりもアメリカのほうが作るのがうまいなぁ、という印象です。