MY WIFE'S RELATIONS
製作国:アメリカ
上映時間:20分
監督:バスター・キートン
出演:バスター・キートン/ケイト・ブライス/モンティ・コリンズ

先ほどご紹介した『キートンの警官騒動』(1922)に引き続き、同年に製作されたバスター・キートンが監督・主演を務めた短編喜劇。本作は日本では劇場公開はされていないようです(特集上映などは除く)。

 パン生地を練っていたキートンは伸びたそいつで縄とびを始め、ちょうどやって来た郵便屋に絡みつけて甚大な被害を与えた。彼の落した一通の封筒を台無しにして引っ込みつかないキートンはそれを懐に……。その騒ぎが飛び火して、おっかない行かず後家の部屋の窓ガラスを割ってしまったキートンは判事の元に連れて行かれるが、この判事、ポーランド語しか話せず(!)、先に予約してきた結婚するカップルと彼らを勘違い。どさくさに結婚の誓約を交わしてしまったキートンは、彼女の実家に連れていかれる。そこは父をはじめ四人のむくつけき兄たちが住む男所帯。全員に小突き回される荒っぽい歓迎を受け、マッチョな品定めをされ、夕食の卓に着くと、今度は座りながらもすっかり給仕役で、自分は食事にありつけないキートン(珈琲に砂糖を何ヶも入れる兄に呆れて、逆に砂糖つぼに珈琲を入れてやり、感謝されるのがおかしい)。だが、やがて、内ポケットの手紙を女に発見され、一家の態度は豹変する。それは莫大な財産相続の伝聞だったのである。急に、蝶よ、花よ--の扱いになり、一家は結婚お披露目のパーティを催してくれた。振舞われるのは、新婦ご自慢の密造ビール。そこに入れるよう頼まれたイースト菌を、キートンは間違えて入れて、宴もたけなわの時、屋敷中が泡だらけに。と、手紙の宛先が彼でないことも発覚し、一族郎党、彼をこらしめようと血眼になるが……。その突拍子もない“きっかけ”のシュールさが、後のマルクス兄弟のギャグを想わす、キートンの初期短篇の傑作。蚊とんぼのようにか細いキートンが、暴力にも近い、荒くれ男たちの食事風景に圧倒される様が妙におかしい。

ストーリーはAllcinema Onlineの解説にある通り。本作は映画序盤からキートンの魅力全開のノンストップ・スラップスティック・コメディ作品に仕上がっています。パワフルな女房キティ(ケイト・ブライス)を筆頭に、4人のマッチョ兄弟たち、そして頑固な父親を相手に家の中の小道具を使い逃げまわり走り回るキートンの姿が非常に魅力的。

また、4人の兄弟たちもこの時代の映画のわりにはなかなかキャラクターが立っており、そういった点も見ていて楽しめます。