REVOLVER
製作国:イタリア/フランス/西ドイツ/モナコ
上映時間:112分
監督:セルジオ・ソリーマ
出演:オリヴァー・リード/ファビオ・テスティ/ダニエル・ベレッタ/アゴスティーナ・ベリ

血斗のジャンゴ』(1967)、『復讐のガンマン』(1968)といったマカロニウエスタンでも知られるセルジオ・ソリーマ監督がメガホンを取ったマカロニ・クライム。主演はイギリス出身のオリヴァー・リードと、『荒野の処刑』(1975)のファビオ・テスティ。

 イタリア暗黒街を舞台に繰り広げられるアクション映画。刑務所の看守として働く主人公(O・リード)の下に、財界の大物を暗殺した男が送られてきた。そんなある日、彼の妻が誘拐され、男を引き渡せとギャングたちに脅されるのだが……。

Allcinema Onlineの解説は今回も比較的いい加減。ファビオ・テスティ演じるミロ・ルイズは財界の大物を暗殺した男、ではなく、財界の大物を暗殺したという濡れ衣を着せられたこそ泥ジャン・ダニエル(フランク・フォン・クーゲルゲン)の死の真相を知っている人物。そのため、フレンチ・マフィアのグラニエ(フレデリック・ド・パスカル)らに命を狙われ、殺害のために脱獄させられます。

まず、こそ泥に失敗し、ルイズとジャン・ダニエルが車で逃走。腹を撃たれて息を引き取ったジャン・ダニエルを、ルイズが河原に埋めるオープニング。それにかぶさるエンニオ・モリコーネの悲しげな音楽が本当に美しい。このシーンだけでも本作を見る価値はあります。もちろん、それだけの映画ではありませんけれど。

元刑事の看守を演じたオリヴァー・リードは、一見すると主役を張るには少々地味な印象があるのですが、こういった男ほどハード・ボイルド映画にはよく似合います。初めは大して格好良く見えないのですが、だんだんと格好良く見えてくるのです。それだけに、最後の彼の選択が(映画的に)活きてきます。

看守と脱走犯、初めは半目しあう彼らでしたが、共通の目的を追求すううちにだんだんと友情が芽生え初め……というのは、バディ・ムービーではよくある展開なのですが、そこから更に一捻りあるのがソリーマ監督らしいところ。映画の中で変化していく人格を描かせれば、特に善悪の境界で揺れるキャラクターを描かせれば、ソリーマ監督の右にである監督は早々いないのではないかと思います。

『血斗のジャンゴ』では悪に魅せられていく教授と、善に目覚めていく山賊を描いたソリーマ監督ですが、本作はちょうどその合わせ鏡のようになっている作品に感じられます。全編を覆うモリコーネの音楽と合わせ、非常におすすめの一本です。