UNA NUVOLA DI POLVERE... UN GRIDO DI MORTE... ARRIVA SARTANA
製作国:イタリア/スペイン
上映時間:99分
監督:ジュリアーノ・カルニメーオ
出演:ジャンニ・ガルコ/ニエヴェス・ナヴァロ/ピエロ・ルリ

SE INCONTRI SARTANA PREGA PER LA TUA MORTE(サルタナに逢ったらお前の死を祈れ )』(1968)、『SONO SARTANA, IL VOSTRO BECCHINO(俺はサルタナ、お前らの墓堀人だ)』(1969)、『BUON FUNERALE, AMIGOS!...PAGA SARTANA(友よ、良い葬式を...サルタナが支払う)』(1971)と紹介してきましたサルタナシリーズですが、4作目である本作を持って一応終了となります。一応、というのは、実は第5作として『C'È SARTANA... VENDI LA PISTOLA E COMPRATI LA BARA(俺はサルタナ、貴様の拳銃と棺桶を交換だ)』(1970)という作品が存在するためです。しかし、この作品では主人公のサルタナを演じるのはジャンニ・ガルコからジョージ・ヒルトンに交代しています。そのため、ガルコがサルタナを演じた作品としては、本作が最終作となります。

友人であるグランド・フル(ピエロ・ルリ)が強盗殺人の疑いを掛けられて捕まった。サルタナ(ジャンニ・ガルコ)は監獄へと潜入し、フルを脱獄させます。無実を訴えるフルの話によると、フルと共に賭博場を経営していたジョンソンが、偽札と金塊の取引を仲介する振りをして、50万ドルをだまし取ったということのようです。しかし、ジョンソンも取引の現場にいた3人も何者かによって殺されてしまっていたのでした。サルタナは町を訪れ、消えた50万ドルの行方を追います。

町では保安官(マッシモ・セラート)、モンク将軍(ホセ・ハスペ)、ジョンソンの未亡人(ニエヴェス・ナヴァロ)など、様々な人物が50万ドルの行方を追っていました。サルタナは彼らを出し抜いて、50万ドルの黄金の行方を追うのでした……というお話。

サルタナシリーズの原題はどれもなかなか面白いのですが、本作についても「塵の雲、死の嘆き……サルタナ参上」というなかなか洒落た原題が付けられています。サルタナシリーズの特徴として、マカロニウエスタンとしてはなかなか凝った筋書き、それに関わる登場人物の多さ、そして、サルタナの時代考証を無視した兵器が挙げられます。

本作でも消えた50万ドルの隠し場所と真犯人捜しというミステリー要素を加味し、なかなか面白いストーリーに仕上がっています。一方で、金を狙う人物の数が少々多く、それぞれのキャラクターがあまり印象に残らなかったのは残念なところです。

そして、何より本作での一番の見所は時代考証を無視した兵器でしょう。サルタナシリーズの中でもこれについては本作が一番突き抜けています。まず、プロンじいさんが作ったアルフィーという名前の絡繰り人形。カラカラと移動して、敵の元にダイナマイトを運びます。このプロンじいさん、007で言うとQのような役回りなのかしら。

何よりの見所は脱力系秘密兵器の極北、通称「皆殺しオルGUN」! 読んで字のごとく、敵を「皆殺し」にする「オルガン」型の「GUN」です。うん、意味が分かりません(笑)ジュリアーノ・カルニメーオ監督は『荒野の無頼漢』(1970)にも「ミシンガン」なる珍妙な兵器を登場させていましたが、珍妙さではこちらの方が数段上。一見の価値ありです。