製作国:日本
上映時間:89分
監督:鈴木則文
出演:名和宏/杉本美樹/サンドラ・ジュリアン/成瀬正孝

東京都の「青少年の健全な育成に関する条例」改定が一部界隈で話題になっていますが、鈴木則文監督がこの一連の流れをどういうふうにご覧になっているのか、非常に興味がありますね。ということで、今回は鈴木則文監督のポルノの中では最高傑作との声もある『徳川セックス禁止令 色情大名』です。

九州唐津の大名・小倉忠輝(名和宏)は女嫌いの武骨者。そこへ徳川家茂の息女・清姫(杉本美樹)が降嫁することが決定されます。家老を始めとする重臣たちは何とか殿の女嫌いを治そうと、出入り商人である博多屋伝右ヱ門(渡辺文雄)に相談します。伝右ヱ門は秘蔵の美妓・サンドラ(サンドラ・ジュリアン)によって忠輝に性の手ほどきをさせます。そこで性の喜びに目覚めた忠輝は、下賤の者にこの楽しみを味わわせるのは勿体無いとばかり、交合禁止令を発令するのでしたが……というお話。

そもそもこの映画が制作されるきっかけの一つとなった出来事が当時現実社会でありました。それは1972年、『愛のぬくもり』、『恋の狩人・ラブハンター』、『OL日記 牝猫の情事』、『女高生芸者』の4本の映画が警視庁によって摘発された事件、通称日活ロマンポルノ摘発事件と呼ばれている事件の発生でした。この映画で「禁令175号」という数字がよく登場しますが、これも実際の刑法175条「わいせつ物頒布等の罪」を揶揄したものです。

と、まぁ、背景を長々と書きましたが、そういうことを抜きにしても、この映画は非常に面白い。一見ばかばかしい主題を大真面目に取り上げ、しかもその裏には現実社会の権力者に対する辛辣な批判が隠されている。その上でそれを笑いに包んだ鋭い脚本と鈴木則文監督のカラッとした演出と反骨精神がブレンドされれば面白くないはずがありません。

この映画の最後では禁令175号は廃止されるのですが、その切欠となるのが愛妾であるサンドラが自らの定めた法によって処刑されてしまったこと。要は、最後まで権力者である忠輝は自分の都合しか考えていなかったのです。結局権力者なんてそんなものだ、という鈴木監督の乾いた視線が見えるような気がしました。

映画の最後に表示される監督からのメッセージを引用して、この項は閉めさせていただきます。

あらゆる生命の根源たる性を支配し管理検閲する事は 何人にも許されない
例え 神の名においてもー