製作国:日本
上映時間:94分
監督:深作欣二
出演:渡哲也/梅宮辰夫/山城新伍/多岐川裕美/池玲子

深作監督が「仁義なき戦い」シリーズを取ったあとに監督した実録ヤクザ映画の一本。主演はよくコンビを組んでいた菅原文太ではなく、渡哲也です。

 戦後の混乱期に、ヤクザ社会の中でもルールを無視して強烈に生きたひとりの男の物語。昭和21年、新宿。ここではテキ屋系の4大勢力が縄張りを分け合っていた。河田組にいた石川力夫は仲間を伴い、“山東会”の賭場を襲い金を奪って逃走した。これをきっかけに石川たちと山東会の抗争が勃発。石川らは山東会をあっさり壊滅させてしまうが……。有名な、妻の遺骨をかじりながら歩くシーンはあまりにも衝撃的。実在の人物をモデルに、渡哲也が狂気と暴力の男を鬼気迫る迫力で演じている。

本作の舞台は広島ではなく東京・新宿。そして、主人公である石川力夫(渡哲也)の戦前から続く仁義に価値を認めない、狂犬のような生き方も相まって、「仁義なき戦い」シリーズよりもむしろ、それ以前に深作監督がメガホンを取った『現代やくざ 人斬り与太 』(1972)や『人斬り与太 狂犬三兄弟』(1972)から繋がっている作品のように感じられました。

古い極道の仕来たりに価値を認めず、かと言って何か新しい価値を見出すこともできず、麻薬に溺れ、どんどん破滅的に身を持ち崩していく石川を渡哲也は熱演しています。ただ、『人斬り与太 狂犬三兄弟』の主人公同様、ここまで筋目も何もない主人公というのは、なかなか感情移入がしづらく、見ていて少々辛いものもあります。彼の苛立ちとか、悲しみは画面からひしひしと伝わってくるのですがね。また、石川の女を演じた多岐川裕美は薄幸そうな演技で映画に花を添えています。